1.既に発表したジュリスト論文(「法的思考・実践的推論と不法行為『訴訟』」ジュリ997〜999(1992))では、法学方法論として、法術紋論と法政等論とを意識的に区別する必要性・及びそれを前提とした前者における法的推論(法的正当化)の実践哲学的意義を強調したが、本研究では、その具体的応用としての実作作用にあてられた。例えば、医療過誤におけるインフォームド・コンセント法理について、医療保障政策の観点からの再検討を試みた。 2.またその過程で、法規範による紛争解決という伝統的モデルのゆらぎとも言えるポスト・モダンの法現象にも関心を寄せ、その具体的場面として、子の監護をめぐる紛争及び環境紛争(嫌忌施設に関する差止紛争)を扱い、その現代的特色を考察した。 3.さらに広く、法規範と家族及び社会の構成のあり方との関わりという法社会学的関心が高まり、今後家族性及び医事法の諸問題の研究を通じて理解を深めていく予定である。
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