(1)選挙キャンペーン 世論調査における政党支持の動向や主要政党のマニフェストを比較して、キャンペーンの選挙結果に及ぼした影響を探ってみた。保守党と労働党の二大政党間におけるマニフェストの大きな相違は見られなかった。世論調査ではサッチャー保守党長期政権に対する国民の不満や変化を求める世論を反映して、労働党優勢であった。これに危機感を抱いたメジャー首相率いる保守党は選挙戦中盤からなりふり構わない労働党に対する中傷やスキャンダルキャンペーンを展開した。特に、労働党はテレビでの党の広告番組でいわゆるヤラセ番組を放映するなど、大失態を演じ、取り返しのつかないダメ-ジをこうむってしまった (2)選挙結果とその分析 選挙結果の地域的特性、社会的属性、社会的・経済的地位、労働組合員と住居形態と投票行動において、従来とは異なった現象が今回の選挙では明らかになった。特に、労働組合員と住居形態との関係では、サッチャー政権時代に行なわれた公営住宅政策によって公営住宅の払下げを受けた労働者階級の労働党支持から保守党支持へのスウイングは労働党の政権奪回戦略の根本的な見直しを迫るものとなりそうである。
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