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情報の経済理論による日本の退職金制度の実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 05853006
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 経済統計学
研究機関学習院大学

研究代表者

玄田 有史  学習院大学, 経済学部, 専任講師 (90245366)

研究期間 (年度) 1993
研究課題ステータス 完了 (1993年度)
配分額 *注記
800千円 (直接経費: 800千円)
1993年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
キーワード退職金 / 効率賃金仮説 / 供託金 / 非自発的失業
研究概要

労働者の労働意欲を高め、企業内への定着を促す為の誘因システムとして、日本の退職金制度がどのような機能を果たしているかを考察した。分析は、主に二つの内容からなる。一つは、情報の経済理論モデルを用いて、自就職時の労働需給状況と退職の際の自己都合退職金と会社都合退職金の差額との関係を分析した。経済理論的には、労働のインセンティブを高める為の長期契約には、供託金の労働者と企業間での授受によるもの(供託金仮説)と、企業が労働者に一定期間勤続後の退職には一定のプレミアムを含めた支払を行うもの(効率賃金仮説)の二つの種類が考えられる。これらの理論を退職金制度に応用した結果、次のことが明らかになった。供託金仮説が妥当であるときには、経済に発生する失業はすべて自発的な失業であり、需給逼迫時に就職した労働者ほど、退職時の二種類の退職金の差額は小さくなる。一方、効率賃金仮説が妥当であるときには、経済に非自発的失業が発生し、需給逼迫時に就職した者ほど二種類の退職金の差は大きくなる。
もう一つの分析内容は、先の理論仮説についての実証研究からなる。実証分析には、中央労働委員会『退職金・年金事情調査』と労働省職業安定局統計を用いた。分析方法は、製造業の各産業について、被説明変数を二種類の退職金の差として、説明変数の中に就職時の雇用充足率を含め、その変数の最小自乗推計量を用いて行った。その結果、日本の製造業の退職金制度には供託金制度の妥当性を支持する結果は得られなかった。一方、繊維産業や機械産業などの製造業の退職金制度については、効率賃金仮説を支持する結果が得られた。これから、日本の労働者の動機付け、将来のプレミアムの支払らわれる可能性を通じて行われており、その結果日本の失業者には非自発的な失業者も含まれていることが分かった。

報告書

(1件)
  • 1993 実績報告書

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2018-06-07  

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