開発途上国の規定は、国連又は世銀が行っているように、国民1人当たりの年間国民所得を基準とするが、経済開発や経済援助を扱うためには、平均像よりも、分野、産業ごとの分析、特に産業構造における労働配分と雇用契約形態の研究が不可欠である。雇用については、共同体の慣行という非経済要因が強調されることの多い小規模産業であるが、実際には、暗黙の雇用契約が個人経営体と労働者、個人経営体の間、労働者の間と、複雑にはりめぐらされており、メンバーの間で、就業機会を分け与えあうことが、構造的かつ時系列的に実施されている。これを「ワーク・シェアリング」と呼称するが、これを活用すれば、小規模産業の雇用吸収力は著しく高いものであって、余剰労働力という否定的評価は正当ではない。かえって、個人経営体の雇用吸収力を活用し、貧困解消のための経済援助の対象とすることが求められる。
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