研究概要 |
1.くりこみ群の方法を非平衡系に拡張する問題を数学的に扱う材料として,Burgers方程式にガウス型ノイズが加わったLangevin方程式を考察した。この方程式は70年代後半に流体力学的視点から,また80年代後半に成長界面や高分子系の模型としてとりあげられたものである.そこでの計算は1ループ計算にとどまっていたので,より高次の項の計算ならびに近似によらない厳密な取扱いを試みたが,くりこみ群変換を構成するためには平衡系の場合にはなかった手順(無限次元の陰函数を解くこと)を踏まなければならないことがわかった.これを非摂動論的に厳密に取り扱うことはまだできず,今後の課題として残っている. 3.数理物理学の問題を漸近解析的方法で探る材料として,KruskalとSegurの方法,ならびにそれとBorel総和法を組み合わせるというHakim達の方法について考察した.これらはいずれも基本的には非線形の常微分方程式を扱う.Hakim達の解析は実際には近似計算で,しかも誤差評価のない形式的なasymptotic matchingによるものなので,その厳密化を試みた.これは標準的な縮小写像の論法に持ち込めばできるはずだが,時間不足なのでまだ完成していない.同様の方法を高エネルギー物理の「弦方程式」に適用する研究も現在進行中である.
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