1.フラクタル上のラプラシアンのスペクトルにたいするワイルの定理 有限分岐的な自己相以集合の上のラプラシアンはharmonic strutureと集合上の測度によって決まることが解かっていた。このラプラシアンの固有値のカウンテング関数(実数xに対してx以下の重複度もこめた固有値の数)がある種の自己相以性を持つことを示し、それを利用して、xが無限大に近ずく時のカウンテング関数の増大の漸近挙動を明かにした。 2.フラクタル上のDirichlet形式にたいする固有な距離 フラクタル上定義されたDirichlet形式から2点間の有効抵抗が定義できることが解かる。本研究ではこの有効抵抗が距離の性質を持つことを示して、この距離がDirichlet形式に対する固有な距離であることを明かにした。さらにこの有効抵抗から決まる距離の特徴付けを行ない、有効抵抗からDirichlet形式が再現できることを示した。また有限分岐的な自己相以集合の場合、この有効抵抗から決まる距離についての集合のハウスドルフ次元を計算して、ラプラシアンとから決まるスペクトル次元とこのハウスドルフ次元の関係を明かにした。 3.樹状集合上のラプラシアンの構成とそのスペクトル 樹上集合(ループを全く含まない集合)上の道を測地線とするような距離が与えられたとき、そこからDirichlet形式が構成できることを示した。更にこのDirichlet形式から決まるラプラシアンのスペクトル次元と集合のハウスドルフ次元のあいだの関係を求めることに成功した。
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