(1)ヘリウム比例計数管による1電子検出の可能性。 高エ研にて過去に開発した紫外光検出用ガス比例計数管を使用して実験を行った。この比例計数管は分割化された陰極読みだしMWPCであり陽極は20マイクロンのワイヤーであり陽極-陰極間の距離は4mmである。また片方の陰極はCaF2結晶の紫外窓になっておりこれにベータ線源を当てることによりチェレンコフ光を発生させトリエチルアミンをヘリウムガスに混入させることにより1電子を作る(光電効果による)。この方法によって得られた1電子によるMWPCの波高分布はピークを持たないエクスポネンシャルな形(あるいはべき型)をしていることがわかった。現在これがノイズ等による外的原因によるものか、原理的なものなのかを検討中である。原理的解釈としては以下のようなものが考えられる。ガス中の電子増幅はなだれ現象であり移動中の電子の増幅は確立により支配されている。この場合一般になだれはフラクタルとなりどのスケール(距離)においても現象は同一の形をしている。この結果出力波形はべき型になる。この類推は簡単な計算機シミュレーションによっても再現できる。今後の目標としては実験のノイズの削減、完全な計算機シミュレーションの開発が考えられる。 (2)自然放射能によるバックグラウンドの研究。 カミオカンデ実験場などに於ける自然放射能等の資料を整理し、それに対する処置法を検討した。結果は液体窒素及びドライアイス等によりほとんど完全に岩盤からのガンマ線を遮断することができることが計算機シミュレーション等によりわかった。 (3)読みだし電子回路の検討。 実時間にて読みだし可能な電子回路の設計を行った。MWPCからの電荷信号を論理時間信号に変換するLSIを回路シミュレーション等を使って設計し、十分な特性、又安価にそれを作成できることが証明された。
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