研究概要 |
2次元配向したネマチック液晶中に現われるディスクリネーションは、2次元XY系でのVortex,Antivortexに対応する。これまでの研究により、数多くのディスクリネーションが消滅していく過程には、動的スケーリング則が存在することなどがわかっている。 本研究では、オーダーパラメターの2時間相関関数を測定した。偏光顕微鏡の透過光強度I(r,t)と、液晶分子の配向方向n(r,t)と偏光子のなす角度phi(r,t)にはI(r,t)〜sin^2(2phi(r,t))という関係がある。I(r,t)を用いて配向角の2時間相関関数A(t,t′)を次式で定義した。 A(t,t´)=<(I(0,t)-<I(0,t)>)(I(0,t´)-<I(0,t´)>)>∝<cos4phi(0,t)cos4phi(0,t´)> 観察領域の有限性のため、実験結果には,ばらつきがあったが、時間が十分経つとA(t,t´)は時間のベキ乗に比例して減少していくことがわかった。15EA05:また、ディスクリネーションの符号を区別しながら、位置を測定した。この解析では、同符号同士および異符号同士のディスクリネーションの位置に関する相関関数を求めた結果、2次元XY系でのVortex,Antivortexの消滅過程における位置の相関関数と非常によく一致していることが明らかになった。さらに、位置の相関関数からも、動的スケーリング則が存在することが確かめられた。次に、各時刻のディスクリネーションの分布関数を符号を区別して計算したところ、ディスクリネーションの分布はランダムではなく、符号の異なるディスクリネーションの存在確率は、最隣接ディスクリネーション間距離だけ離れた場所でピークを持つことがわかった。さらに、ディスクリネーションの相互作用は、最隣接距離の約10倍まで及んでいることがわかった。これは、異符号間の相互作用が非常に強いことを示唆している。
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