磁気リコネクション過程は、プラズマ・シートに蓄えられた磁場エネルギーをプラズマの運動エネルギーや熱エネルギーに変換し、ダイナミックな構造変化に伴い様々な興味深い現象を作り出していることはよく知られている。本研究では、これまでの余り議論されていない磁気リコネクションの素過程を見直すことにした。それは、1)電子とイオンの慣性の違いから生ずる「2流体性」の効果が生むイオン音波とアルフベン波との競合過程と、2)磁気リコネクション面に対して斜めに伝搬する波の効果を調べることである。これらの効果により、従来の古典的なリコネクションは周波数の実部がゼロであるのにたいして、周波数の実部が有限の値を持つ非定常のリコネクションとして発展することが予想されていた。我々は、独自に開発した2流体近似の電磁流体コードを用いた数値シミュレーションで、振動型の磁気リコネクションの非線形発展を研究した。これまでに得られた結果は、1)X点がドリフト波にのって時間と共に移動すること、2)磁気中性面から放射されるイオン音波が、磁気リコネクションの自由エネルギーを持ち出し、エネルギー変換効率を押さえること、3)また、放射されたイオン音波と渦運動を励起する従来のアルフベン波が共鳴して乱流状態の磁気リコネクションに発展することなどである。
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