中央アフリカ産カルボナドについてレーザー誘起蛍光、赤外吸収といった分光学的測定を行い、さらに熱測定、希土類元素存在度の分析を行った。中央アフリカカルボナドからは、放射性損傷起源の発光が観測され、カルボナドの生成温度の推定に有力な手段となることがわかった。また、赤外吸収スペクトルは窒素小板の存在を示すものであった。一方、希土類元素存在度はキンバライトと酷似したパターンを示し、カルボナドが従来のマントル起源のダイヤモンドと共通の起源をもつことを示唆している。これらの結果を総合すると、カルボナドはマントル中での高温、高圧により晶出したダイヤモンド微結晶がウラン、トリウムからの放射線により強固に結合(焼結)したものであることを強く示唆する結果を得た。本研究の結果は、これまで地殻起源とも考えられていたカルボナドの起源に一石を投じるものである。 天然ダイヤモンドであるカルボナドの性質から、人工ダイヤモンド微結晶が放射線のエネルギーで焼結可能であることを提案した。これは焼結体の微細加工への道を開きうるものである。さらに焼結過程のダイナミクスを探るため、同位体濃縮ダイヤモンドの合成も行い、次年度以降の研究に継続的に供することが可能になった。今後は人工ダイヤモンド微結晶への高エネルギー打ち込み実験を発展させ、ダイヤモンド焼結を実現化する予定である。
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