本研究では、PVCやPANの優れた製膜性を保持しつつ、それらの膜表面に共役系をマイクロ波プラズマ処理により瞬時に形成させ半導電性膜の可能性について追及することを目的とする。自作のマイクロ波放電システムを用いて、種々のキャリヤ-ガスを放電させ、そのグロー内にPVC膜置いて、膜表面で脱HCL反応を生じさせた結果、膜表面に共役炭素結合が形成していることを、IR、ラマンスペクトルならびに蛍光測定より確認できた。この共役結合の生成は、放電処理時間とマイクロ波発生器からの距離に大きく依存することが明らかとなった。また、光を用いてPCV膜表面に共役結合を形成させる手法に比べて、本研究の方法は、きわめて短時間で共役結合を形成させることが可能であることが明らかになった。 この共役結合の形成過程を検討するために、放電時間、電圧、プラズマグローの圧力を変えて、プラズマ照射で得られた発光をマルチチャンネル測光により観測した結果、CHやC2フラッグメントに帰属できる反応活性種の検出に成功し、この結果から、PVC表面がプラズマ処理によって分解し、これらの反応活性種が生成していることが明らかになった。
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