平成5年度の奨励研究(A)によって成された研究実績の概要を報告いたします。本年度は、上記の研究課題及び先に提出いたしました研究実施計画書に従い研究を行なって参りました。その結果、当初予定しておりました成果の4割は成し得たと考えております。より具体的に申しますと、有機超伝導現象を起こす代表的電子供与性分子であるBEDT-TTF及びBMDT-TTFについて真空紫外レーザー励起にる1光子イオン化しきい光電子スペクトルは、通常の熱蒸発法で観測することができました(計画書の中では光蒸発法を試みることになっておりましたが、必要ありませんでした。)しかし、その中には当初予想した大振幅な面外運動による低振動数の振電帯は現れておらず、通常の中、高振動数の分子振動が現れていただけでありました。この結果もひとつの成果として現在、学術雑誌に投稿する準備を行なっております。しかし、当初の目論見が多少外れたこともあり、今後継続して研究を行なうことはないと思います。以上で概要報告といたします。
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