研究概要 |
CuO_2層のa軸長は層をはさんだ金属原子の種類によって異なり、BaCuO_2で0.383nm、SrCuO_2で0.380-.0383nmである。これに対し、ブロック層候補であるペロブスカイト化合物は、金属元素を変えることにとって、a軸長0.378-0.391nmの範囲で任意の値に設定できる特徴を持つ。ペロブスカイト化合物をブロック層としてa軸長を変化させ、CuO_2層と整合するブロック層のa軸長範囲を決定した。 BaCuO_2と整合するペロブスカイト化合物はなく、酸素欠損したCuO_<2-y>をもつlnBa_2CuO_yと立方晶構造を持つLaBaRuCuO_yが合成された。InBa_2CuO_yの構造をXRDリ-トベルト解析とTEMによって決定した。CuO_2層から74%の酸素が欠損し、抵抗温度特性は半導体的であった。LaBaRuCuO_yは立方晶で、BaとRuがNaCL型に配置した構造を持つことが明らかになった。この系の抵抗温度特性は半導体的であった。 これに対しSrCuO_2とはLnGaO_3が整合し、LnSrGaCuO_y(Ln=La,Nd)が合成された。SrCuO_2とLnGaO_3のミスフィットは0.7-1.4%であり、この程度のミスフィットが層状構造形成に許されることが明らかになった。この系は半導体的であるが、酸素量を増加させてホールドープすると抵抗率は著しく減少することが判明した。 さらに(Bi_x,Cu_<1-x>)Sr_2YCu_2O_yの単相試料を合成しその構造を決定した。単相はx=0.33の組成のみで合成でき、この系は半導体であることが明らかになった。以前報告された超伝導性は不純物相によるものと思われる。
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