微小重力Fにおいてブタンガス拡散火炎中カーボン粒子の成長挙動を種々の条件において観察し、その生成位置、生成機構等について検討した。変化させた実験条件としては、雰囲気酸素濃度、周囲の流動条件、電場である。微小重力下においてカーボン粒子は地上におけるものの数百倍以上の大きさまで成長することがわかったが、この成長の程度は、燃焼条件によって異なる。雰囲気酸素濃度は、21〜50%の範囲でこの成長が観察されたが、その生成は30〜40%で最もさかんであった。低酸素濃度条件では温度条件が低く、高酸素濃度条件では一度生成されたカーボンの酸化が進行してしまうため最も生成されやすい酸素濃度条件が存在することが予測された。次に周囲の流動条件の影響を調べた。周囲が流動している場合、カーボン粒子の成長は急速に抑制され地上と類似の生成状況となった。このことから火炎中においてカーボン粒子の生成は極めて限定された位置で行なわれ、その位置における滞留時間が重要なパラメータであることがわかった。電場をかけた場合カーボン粒子の生成そのものは、電場の有無によらず進行するが、その後粒子は電極方向へ引き寄せられるような挙動を示した。このことから粒子は凝集後ある特定の電荷を帯びていることがわかった。 これらの結果から微小重力下で生じる巨大カーボン粒子は拡散火炎の極めて限定された場所で長時間滞留することにより生じ、またその凝集過程には何らかの電気的な力が作用していることが示唆された。なお、本成果は、これまで取り扱われたことのない全く新たな成果である。
|