酸化物高温超伝導セラミックスの線材化は超伝導体への酸素供給、磁場中の臨海電流の劣化、粒界弱結合による全体臨界電流密度の低下といった難問を抱えて成功していない。近年銀を皮覆材料とした酸化物超伝導線材或いはテープが提案されている。これは銀が高温で酸素を透過する性質があるため、熱処理の際銀パイプ壁を通して酸素を酸化物に導入できるためである。しかしながら、貴金属である銀を利用した超伝導線材は大変高価になり量産しかねる。また、酸素供給以外の問題も本質的に解決されていない。 本研究はY系高温超伝導材料を中心に下記の研究を行った。 1.磁束ピン止め中心の導入。 溶融法により作成したY系高温超伝導体では溶融状態から析出した不純物相をピン止め中心として利用し、成功しているが、この方法は超伝導体の融点を超える1000度以上の高温処理が必要であるため、線材化に適していない。本研究は線材化に適用できる磁束ピン止め中心の導入をねらってY系高温超伝導体に簡単な熱処理などの方法で転位を生成させ、それがピン止め中心として利用できることを発見した。結果をJJAPに報告している。 銀に代わる廉価金属被覆材の探索 酸素供給をまったく必要としない超伝導材料YBa_2Cu_4O_8を簡便に作成できる方法を見つけた。青果をJJAPに公表している。これを利用したら銀以外の普通金属で線材が作れ、低コストの線材の実現が可能になる。
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