研究概要 |
本研究では,微細機械加工においてメッキ法を用いることにより,手軽で安価に成膜する方法を確立する事,メッキの特徴を生かして成膜と同時に簡単なプロセスでマイクロマシンのための複雑で立体的な構造体の作成する事を目指して研究を行った. まず,無電解メッキ法について調査,研究を行った.ニッケル,銅,錫そしてハンダ等のメッキ液が多種市販されており,この中から必要に応じて選択すればつきまわりの良い均一な成膜が無電解メッキで手軽に行えることが分かった.色々な基板にメッキを行ってみたが,これまで主にマイクロマシンニングの対象とされてきたシリコンやガラスの鏡面への直接成膜は難しかった.しかし,アルミやレジスト等をあらかじめ成膜しておくことでこの問題は解決できた.また,これはアルミやレジスト等をパタ-ニングした後メッキすると基板上の特定の場所へ選択的に厚く成膜できるので利点とも考えられた. 次に,市販のプリント基板やメッキを利用して静電容量型マイクロエンコーダを試作し,このエンコーダがマイクロマシンのために有用だと分かった. また,メッキ成膜により立体的な構造体を作るための型わくの製作技術のついて研究を行った.シリコンの結晶異方性のウェットエッチングではニッケル等が成膜してある場合反応が激しくアンダーエッチが生じるが,EDPやTMAHの最適条件を見いだし深さ200mumの加工ができた.また,シリコンの反応性イオンエッチング装置を製作し,基板を-120℃程度に冷却する事で結晶異方性のウェットエッチングと同程度のスピードで200mumのサイドエッチのほとんどない異方性エッチングを行う事ができた.また,感光性ガラスは熱処理の際の変形に注意すれば十分立体的な構造を作る事ができた.調査ではグレイ光リソグラフィや斜め光リソグラフィと厚いレジストとの組み合わせはLIGAプロセスよりもバラエティに富んだ型ができる事が分かった.以上の事から,この加工法で製作される型わくにメッキを行えば立体的な構造体ができる事が分かった.
|