本研究では、触覚ディスプレイを開発するにあたり、(1)振動を発生するアクチュエータ、(2)振動の表示面の構成法、(3)ディスプレイの駆動ソフトウェアの3点について考察している。本年度の結果は次の通りである。 (1)に関しては、振動刺激を発生するための微小なアクチュエータの設計改良を行った。具体的には、単結晶シリコンによって製作しつつある流体駆動形マイクロアクチュエータのサイズを縮小化し、細部構造の最適化や加工精度を向上する設計とその試作を行った。この試作は外部発注で行っているが、加工のプロセスが遅延したため、近日中に完成予定となっており、実験データはまだ得られていない。 (2)に関しては、触覚ディスプレイの第2のプロトタイプを試作した。昨年度は、第1のプロトタイプとして、ピエゾアクチュエータの振動振幅を単一の梁で拡大する機構を試作した。このプロトタイプの表示画素密度を4倍に向上することを目標として、梁による増幅の機構を2つ直列に連結した2段増幅機構を有する第2のプロトタイプを、ステンレスのエッチング加工により製作した。この、プロトタイプも、現在、組み立て段階にある。 (3)に関しては、第1プロトタイプを使用して、実験的に駆動アルゴリズムを開発している。具体的には、振動刺激を発生する際の時間的な条件として、振動刺激の継続時間を調査し、最適な継続時間を求めた。更に本プロトタイプによって表現可能な最大密度(表示分解能)を調べる実験を行い、表示対象としてのテクスチャの空間周波数や、その形状による影響を明らかにした。
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