粒径の異なる粒状体を用い浅い基礎の載荷試験(帯基礎、幅3cm)と一面せん断試験を行い、せん断層の発達過程をX線写真によって観察した。 載荷試験では、粒径にかかわらず極限支持力発見時に変形の卓越したせん断層が受働域の地表面付近まで既に発達していたが、極限支持力発見時に生じた体積膨張を伴ったせん断層の長さは粒径の小さな試料ほど長かった。同一相対密度の粒径が異なる試料では、粒径が大きな試料ほど極限支持力発見時の沈下量が大きく、平均粒径が0.637mmの試料は平均粒径が0.177mmの試料の約1.7倍の沈下量を必要とした。また、粒径の細かい試料ほど多くのせん断層が発生し、せん断層の長さ方向に沿ったせん断層の両側での相対変位の変化勾配が急であり、より進行的な破壊形態を示していた。測定されたせん断層の幅は平均粒径の5〜20倍程度の値であった。 一面せん断試験では、粒径が細かく有効鉛直圧が高いほど複数のせん断層が発生する傾向が見られ、より進行的な破壊形態を示した。最終変形段階でのせん断層の幅の各試料ごとの平均粒径D_<50>の10〜20倍程度であり、重力場の載荷試験から得られる値とほぼ同程度の値を示した。実験をおこなった0.5〜4.0kgf/cm^2の範囲では粒子破砕もほとんど生じず、有効鉛直圧によるせん断層幅の明確な変化は見られなかった。せん断層幅と破壊時のtanphi_f、破壊前の体積一定時時のtanphi_<cv>、およびtanphi_f-tanphi_<cv>との関係を整理すると、有効鉛直圧0.5kgf/cm^2のケースではせん断層幅が大きくなるほどこれらのtanphiが大きくなる傾向が見られたが、1kgf/cm^2以上ではほぼ一定であり、せん断層幅による影響は見られなかった。このように低拘束圧域でせん断層の幅が破壊強度に影響を及ぼすことがわかった。
|