土の締固めに重錘落下による衝撃締固めがある。この手法は一般に、打撃エネルギーで管理されるが、打撃エネルギーを構成する重錘質量、落下高、打撃回数が締固めに与える影響水準は同一である保証はなく、その締固め機構は必ずしも明確にされていない。 本研究は、重錘落下による締固めの根源である衝撃力に着目し、室内締固め試験と同規模の条件で地盤を重錘打撃するときに生じる重錘加速度を測定する実験を行った。重錘加速度と重錘貫入量が重錘の質量、底面積、落下高と地盤密度および土の種類によってどのように変化するかを調べることによりその締固め機構を考察した。 一連の実験から、(1)重錘加速度波形は同じ打撃エネルギーの条件でも重錘の質量、底面積によって大きく異なる、しかし(2)単位面積当りの重錘質量m/Aが同じ場合には、落下高ごとに重錘加速度波形は同じ形状となる、(3)緩い密度では2つのピークを、密な地盤では1つのピークをもつ加速度波形となる、(4)衝撃の持続時間は、落下高に関係なくm/Aのみに依存する、(5)最大加速度は衝突速度に比例し、緩い地盤ではm/Aに、密な地盤ではm/Aの平方根に反比例する、(6)重錘貫入量から求めた締固め量は緩い地盤では重錘運動量に、密な地盤では打撃エネルギーに依存することがわかった。 以上から、重錘落下による締固め機構は地盤密度により異なり、緩い地盤では重錘運動量が、密な地盤では打撃エネルギーが支配要因となる。しかし締固め工は本来緩い地盤を対象とするので、締固め管理は打撃エネルギーより運動量で行う方が適切である。
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