障害を有する人や身体機能の低下した高齢者など、外出が困難な層のモビリティの確保が都市交通計画上の重要な課題の一つとなっている。そのためにはこうした人々の考慮した交通環境の整備はもちろんであるが、スペシャルトランスポートサービス(STS)や動く歩道など、多様な交通手段の可能性を検討する必要がある。以上のような観点から本研究では電動三輪車をとりあげ、電動三輪車の利用によるモビリティ改善の可能性をについて、私的交通手段の利用できない高齢者と外出特性を比較することによって検討した。 その結果、電動三輪車の利用によって、交通困難者の外出回数、外出目的、そして移動範囲といった点でモビリティが改善されていることがわかった。 また、現状の走行環境の問題点については、道路構造に関するものと、他の交通との間で生じるものの2つに分けられ、これらに対する基本的な改善方針をまとめることができた。道路構造上の問題に関しては既存の車いすのための整備指針に基づいて、最小回転半径の違いによる有効幅員を考慮して整備を行えば十分であると考える。また、やむを得ず車道を走らなければならない状況については、自動者運転者にその存在を早めに気付かせるような考慮が必要であるという結論を得た。
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