開発途上国においては、水供給とし尿、生活排水の適正な処理が生活環境保全の観点から最も重要である。本研究では、まず開発途上国での水供給、し尿、生活排水の代替案としてどういうものがあるかという調査から研究を開始した。具体的にはインドネシア国公共事業省の人間居住研究所の研究者と共同研究を開始し、イ国で用いられている衛生設備の実態を現地調査した。また、衛生設備を、現地で実施可能な代替案を用いていかに迅速に、かつ二重投資をさけながら行えるかの段階的改善計画に関する研究を行った。この結果、主な制約要因として資金制約が存在する開発途上国においては、日本をはじめとする先進国で主流となっている下水道による汚水の集合処理といった高度な技術より、開発途上国が現有する腐敗槽や浸透槽といった施設を維持管理するための費用に振り向ければ、投資額あたりの環境改善効果が大きいことが明らかになった。 このような開発途上国で用いられている技術の研究を行うと同時に、現在日本にある技術の中で開発途上国でも利用可能な技術を開発途上国向けに改良するためにはどのような点を改良すべきかに関する研究も行った。すなわち、計画論として「流域別下水道整備総合計画」や、「下水道整備構想エリアマップ」等の計画論や、「浄化槽」、「プレハブ式下水道」等の日本固有の技術の途上国での利用の観点からの評価と適用可能性に関する研究を行った。
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