1、ナノ多結晶体生成条件に関する実験的検討(主にムライトを対象に) : 粒子径10nm程度のアルミナおよびシリカ超微粒子の凝集構造をコロイド科学的手法で分散して混合し、ナノメーターオーダーまで均質な複合超微粒子を調整した。この超微粒子から、最大1GPaの等方超高圧成形法により最大相対密度80%の高密度成形体を得た。高密度成形体は従来より3百度以上低い1300℃の焼結で緻密化する特異な焼結特性を示した。微構造はきわめて微細で、特に、1300〜1450℃の低温焼結条件では前年度行った、分子レベルまで均一化したムライト全駆体超微粒子よりも緻密化した。したがって、ナノ混合が、低温条件での焼結では特に有効であることが確認された。 2、粒度分布を制御した球形シリカ微粒子による緻密化過程のモデル的検討 : 金属アルコキシドから合成した粒子径が異なる数種類のサブミクロン以下10nmまでの球形単分散シリカ微粒子を用いて、粒度分布を様々に変化させ、粒度分布が緻密化過程に及ぼす影響をモデル的に検討した。その結果、粒度分布の制御がサブミクロン以下の微粒子でも焼結体の緻密化などに有効であることを確認し、緻密化を支配する粒度制御方法の指針を作成できた。 3、緻密化過程を再現する個別要素法プログラムの開発 : 一個一個の粒子の収縮、焼結過程を個別要素法で離散的にシミュレートできるプログラムの開発を行った。既に開発していた超微粒子の凝集シミュレーションにより作製した凝集体群を用い、充填、圧縮成形した一個一個の粒子の座標が求められる離散的な成形体の再現に成功した。焼結過程は、一個粒子間の物質移動機構を固相拡散を仮定し、個別要素法を用いて各粒子の収縮過程をシミュレーションできるプログラムを作成した。焼結の初期過程については再現が可能となり、焼結終期の緻密化過程を含めたシミュレーションへの拡張を試みている。実験結果との比較から、成形体内部の凝集による不均一構造が焼結特性や焼結体構造に及ぼす影響を焼結過程での成形体内の細孔径分布変化の細孔径分布変化などに着目して定量的解析を実施した。
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