研究概要 |
光で誘導可能な植物遺伝子発現システムの構築として、申請者は以下の研究を行い、成果を得た。 1.トマト由来のribulose 1,5-bisphosphate carboxylase oxygenase/小サブユニット(rbsS)のプロモーターをbeta-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子上流に連結し、大腸菌及びAgrobacteriumで複製可能なpBI系のプラスミドに挿入した。構築したプラスミドをAgrobacterium tumefaciens及びA.rhizogenesを用いた遺伝子導入法で、タバコの細胞及びアジュガの植物体に感染させ、それぞれの遺伝子組換え体を得た。構築した遺伝子組換え体は明条件においてプラスミドに組み込まれたGUS遺伝子が発現し、その生産物であるbeta-グルクロニダーゼを生産することが確認された。 2.培養環境の最適化を目的とした計測法を確立するための初期検討として、知識工学を利用した不定胚分化状況の画像処理計測法を構築した。本システムは測定対象の画像からコンピュータによってパラメーターを抽出し、ニューラルネットワークによりその分化の度合いを決定する方法である。その結果、対象の分化の度合いをを効率よく決定することが可能であった。よって、本システムを培養中の細胞に適用することによって培養環境の監視が可能である示唆される。 3.1で作成した光誘導可能な遺伝子組換え体がバイオリアクターで有用蛋白質を大量生産することを目的とした高密度培養が可能であるか検討した。タバコ細胞を用いた検討ではバイオリアクターによる培養が可能であるものの撹拌翼の形状などなお検討を要することがわかった。
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