1.(1)電析の初期において磁場を作用させると、そのモルフォロジーは変化する事は、すでに前年度までに報告しているが、今回は無電解ニッケルめっき中に磁場を作用させる事によっても、そのモルフォロジーは変化し、その変化をin situに光音響的手法により追跡した。その結果、磁場の効果は析出のごく初期においてのみ現れる事をつきとめた。 (2)アルミニウム箔の腐食反応に対する磁場の効果についても電気化学的な手法を用いて解析し、磁場には腐食抑制効果があることを報告した。 2.光音響的手法を銅箔電析のプロセスに応用した。プリント配線基板用銅箔は、チタンローラー上に銅めっきすることによって製造されるが、その電解浴に適当な添加剤を存在させることによって、その表面モルフォロジーをコントロールしている。しかし、その作用機構については、未だ解明の余地が残されていた。そこで、種々の添加剤(チオ尿剤、ゼラチンなど)を加えた際のその表面モルフォロジーの変化を光音響的手法によってモニタリングすることを試みたところ、浴中の添加剤量によって、また添加剤の種類によってその電析プロセスは大きく変化し、デンドライト状からミラー状の幅広い表面形態をとることがわかり、その生成機構について考察した。 3.半導体上への金属析出反応に関して走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて解析した。p型半導体は光カソード電極特性を持つ事は、よく知られているが、本研究では、このようなp型半導体上への光カソ-ディックな金属(ニッケル)析出と、単にカソ-ディック分極による金属析出の違いをSTMによりin situに評価し、そのメカニズムについても検討した。
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