研究概要 |
本研究においては、水素結合相互作用を中心とした分子間力により分子を集合させ構造制御を行なうことにより、以下に示すような成果を得た。 1.液晶性ポリマーネットワークの構築 側鎖にスペーサーを介して安息香酸ユニットを有するポリアクリレートと、4,4'-ビピリジンや1,2-ビスピリジルエチレンなどの二官能性水素結合性分子から、カルボキシル基とピリジル基が等モルとなるようコンプレックスを作製した。このコンプレックスは、分子間メソゲンを有するネットワーク高分子構造を形成し、なおかつスメクチックA液晶性を示した。すなわち、高度な橋かけ構造にもかかわらず、水素結合の動的性質により液晶性を示す全く新しいタイプの分子配向材料が分子間力による複合化により達成された。 2.強誘電性を示すカイラルスメチックC液晶性分子複合体の構築 キラルな末端基を有するスチルバゾール分子と、側鎖にスペーサーを介して安息香酸ユニットを有するポリエーテルを、水素結合相互作用により複合化させ、新たに強誘電性を発現させることに成功した。この鏡誘電性液晶は電場に安定に応答した。 3.水素結合による主鎖型高分子液晶のポリマーアロイ化 主鎖型液晶ポリエステルの側方置換基にピリジル基を導入したものを合成した。このポリエステルと、ポリビニルフェノールのブレンドを作製した。このポリマーブレンドは、ピリジル基とフェノール水酸基との間に形成される水素結合により相溶し、均一な液晶相を示す液晶性ポリマーアロイとなった。 以上、新規な液晶材料を分子間相互作用の活用により構築することができた。
|