(1)イネ萎縮ウイルス(RDV)はヨコバイで永続的に媒介され、しかも虫体内で増殖し高率に経卵伝染する。しかし、本ウイルスを数年イネ植物体だけで継代することによって(感染イネを株分けで栽培し続ける)、伝染性が失われるという興味深い現象が見いだされる。本研究ではまず、この伝染性が欠落したRDV感染イネを得た。 (2)野性型とヨコバイ伝染性欠損型RDVでゲノムセグメントの電気泳動像に違いがあるかどうかまず調べた結果、両者に差は認められなかった。 (3)RDVゲノムセグメントがコードする蛋白質をバキュロウイルスベクターを用いて発現させ、それらに対する抗体を作製した。 (4)3)で作製した抗体を用いて野性型、伝染性欠損型感染イネ中のRDV蛋白質の検出を行なった。イネ個体間で検出量に差は認められたが、野性型と欠損型との間では明確な違いは認められなかった。 これらの結果は、他のレオウイルスで報告されているような特定セグメントの欠失によるのではなく、他のメカニズム(例えば点突然変異)によってRDVのヨコバイ伝染性欠損が起こることを示唆する。
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