土壌サンプルを分離源とし、L-フェニルアラニンを含むスクリニーング培地で好気的に集積培養を行い、134株の菌を分離した。その中の15株の無細胞抽出液にフェニルアラニン脱水素酵素活性を認めた。これらの菌はいずれも胞子形成能を有するグラム陽性桿菌であり、Bacillus sphaericus由来のフェニルアラニン脱水素酵素に対する抗体との免疫反応が陰性であった。その中で、L-チロシンに対する活性が比較的低い酵素を生産する菌について分類学上の検討を行い、No.2、6、7をBacillus cereusあるいはBacillus thuringiensis、11をBacillus badiusであると同定した。 オピン脱水素酵素については、化学合成したN-(1-R-Carboxylethyl)-S-phenylalanineを誘導剤として培地に加え、Arthrobacter sp.IC株を10リッター培養し、酵素を精製した。精製酵素はSDS-PAGEおよびNative-PAGEによりほぼ均一であった。N末端や、リジルエンドペプチダーゼによる部分分解断片のアミノ酸配列をプロテインシーケンサーにより決定した。 抗体の調製や酵素化学的な検討を行う際には、酵素を高度に精製することが必要である。今回、スラブ電気泳動装置を備品として購入し、純度検定のために十分に活用することができた。また、各種の試薬等の消耗品を購入するためにも、本補助金が大いに役立った。
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