酸化ストレスに伴い動物組織に生成した4-ヒドロキシノネナ-ル修飾蛋白質を高感度に検出する目的で、修飾蛋白質中に生成された4-ヒドロキシノネナ-ル修飾アミノ酸(システイン、ヒスチジン、リジン)を特異的に認識するポリクローナル抗体の作製を試みた。ハプテンとして4-ヒドロキシノネナ-ル-アミノ酸付加化合物を化学的に調製し、キャリア蛋白質に結合させ、抗体作製に用いた。こうして得られた抗体を用いて、脂質過酸化誘導によりラット単離肝細胞中に生成した4-ヒドロキシノネナ-ル修飾蛋白質の免疫化学的手法による検索をおこなったところ、50KDa蛋白質が主な標的蛋白質として検出された。蛋白質の同定には至っていないが、これまでに知られている脂肪酸結合蛋白質との相同性に興味が持たれた。また、本抗体を鉄投与ラット腎臓を用いた免疫組織化学的研究に適用したところ障害部位(近位尿細管)に特異な抗体陽性蛋白質の蓄積がみられた。従って、この4-ヒドロキシノネナ-ル修飾蛋白質に対する特異適抗体の基礎研究面での有用性が立証された。
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