研究概要 |
1)高速液体クロマトグラフィー(島津LC-6A)にて、生体アミノ酸分析用カラム(島津ISC-07/s 1504,Li-type)によるbeta-アラニル・ヒスチジン(カルノシン、Car)およびbeta-アラニル・1-メチルヒスチジン(アンセリン、Ans)の分析条件を検討し、分離能を向上させ、分析時間を240分から87分に短縮した。 2)上記分析条件にて、白色レグホン種(WL)およびロードアイランドレッド種(RIR)の成熟雌雄の赤血球中のCarおよびAns濃度を測定したところ、雌雄差は認められなかったが、WL種はRIR種に比べてCar濃度が高く、逆にAns濃度が低い傾向にあることを見い出した。 3)0-20週齢まで、赤血球中のCarおよびAns濃度の加齢に伴う変動を調査したところ、WL種およびRIR種共にCar濃度は、殆ど変化しないか、あるいは徐々に減少する傾向を示したのに反し、Ans濃度は2〜4週齢にかけて、0、1週齢の約5倍に増加し、その後ほぼ一定の値で推移した。しかし、WL種の一部の個体では、一過性の増加が認められた。 4)RIR種を用い、大量失血後の赤血球中のCarおよびよAnsの濃度の経時的推移を比重別に分離した赤血球を供試して追跡した所、Car/Ans比は採決後およそ20日まで低下したが、40日前後にもとのレベルに戻った。また、赤血球の比重別に比較すると、比重の重い赤血球程、Car/An比が高い傾向が認めれた。 5)RIR種を用い、赤血球中のCarおよびAnsの濃度およびCar/Ans比の遺伝性を検討したところ、CarおよびAns濃度の変異には明確な遺伝性は認められなかったが、Car/Ans比はやや両親のそれと正の相関を示した。 以上の成績より、Carは新生雛および未熟な赤血球にも大量に含有されるが、Ansは赤血球の成熟に伴い赤血球中に蓄積されることが示唆された。
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