研究概要 |
1.交感神経活動は周期的変動を示すことが知られているが、無麻酔条件下のラットについてその詳細はまだ明らかにされていない。そこで意識下ラットから慢性的に記録した腎交感神経活動(RSNA)をスペクトル分析を用いて解析した。(1)安静時0.5,1.5,6,12Hzの4つの周期性成分が認められた。これらは心電図RR間隔変動について認められる低周波成分、高周波成分(呼吸)、心拍及びその二倍の周波数にそれぞれ対応していた。周期性成分の大きさに相当するパワーは12Hzが他に比べて小さい。(2)ニトロプルシッドを投与して血圧を低下させ反射性に亢進させたRSNAでもこれらの4つの周期性成分以外は観察されなかった。心拍に対応した成分のパワーは署明に増大したが他の3つは減弱する傾向にあった。(3)これらの成分に対する圧受容器の関与を明確にする為に圧受容器除神経(SAD)意識下ラットについて調べたところ、上記4つの成分いずれも消失した。これらの結果から意識下ラットでは腎交感神経活動には4つの周期性成分が存在すること、圧受容器のunloadingでは心周期に一致した周期性成分が優位になること、圧受容器からの入力がこれらの周期性成分のいずれの発生にも大きく関与していることが示唆された。(神経科科学会、1993にて報告) 2.自律神経応答が日内変動を示すか、また自律神経応答が刺激開始前の基礎レベルに依存するか、について調べた。二時間毎にニトロプルシッドを投与して血圧を低下させた時の血圧、心拍数と腎交感神経応答を一週間にわたって記録した。(1)心拍数が高い夜間よりも、低い昼間に反射性頻脈反応が大きい傾向を示した(2)腎交感神経応答も同様の傾向を示した。(3)血圧の応答には昼夜の違いは認められなかった。(4)心拍数、腎交感神経活動と血圧の応答の大きさはいずれも刺激開始前のレベルと逆相関関係を示した。(自律神経生理研究会、1993にて報告)
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