我々は、ラット肝臓可溶性画分より、種々のカラムを使用し、23Kのリゾホスホリパーゼ及び60Kのリゾホスホリパーゼ/トランスアシラーゼをそれぞれ510および20万倍に精製し、すでに均一な標品を得た。両酵素ともホスファチジン酸により活性が阻害されることが判明したが、60Kのリゾホスホリパーゼ/トランスアシラーゼはより著明に阻害され、Kiは10uMであった。また、23Kのリゾホスホリパーゼの抗体を得たところ酵素は細胞質にのみ存在することが確認され、60Kのリゾホスホリパーゼ/トランスアシラーゼとは交差しなかった。ミクロゾーム画分にもリゾホスホリパーゼ/トランスアシラーゼ活性が存在し、この活性もホスファチジン酸により著明に阻害された。また、23Kのリゾホスホリパーゼの抗体を使用し、本酵素のcDNAのクローニングが終了した。現在このcDNAをシークエンス中である。今後、60Kのリゾホスホリパーゼ/トランスアシラーゼの抗体も作成し、cDNAのクローニングより酵素の構造を明らかにし、両酵素の調節機構の詳細を解析しようとするものである。あわせて、60Kのリゾホスホリパーゼ/トランスアシラーゼの抗体を使用し、その細胞内分布を明らかにしたい。
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