研究概要 |
2,4-Dinitrophenylated lipoate acetyltansferase(DNP標識抗原)およびbeta-galactosidase(E.coli)-labeled lipoate acetyltransferase(酵素標識抗原)をチオール基とマレイミド基を利用した申請者ら独自の方法により調整した。これらを用いて申請者らの開発した免疫複合体転移酵素免疫測定法による抗ミトコンドリア抗体の測定を行った。すなわち(1)DNP標識抗原、酵素標識抗原および被検抗体の3者からなる免疫複合体を形成させ、これを抗DNP抗体不溶化固相上にトラップした。(2)固相を洗浄した後、DNP-リジンにより複合体を溶出すると同時に抗イムノグロブリン抗体不溶化固相にトラップした(転移)。(3)最後に抗イムノグロブリン抗体不溶化固相上の酵素活性を蛍光基質を用いて測定した。高い抗体価を持つ原発性胆汁性肝硬変症患者血清を用いて従来法との比較を行ったところ、従来法に比べて10〜30倍の高感度化が達成された。この方法を用いて、多数の原発性胆汁性肝硬変症患者及び健常者血清中から抗ミトコンドリア抗体の検索を行った。健常者血清からは抗ミトコンドリア抗体は検出されなかった。また殆どの原発性胆汁性肝硬変症患者血清から抗ミトコンドリア抗体を検出した。今後抗原標識法の改良などを行ってより感度を高めていくと共に、抗ミトコンドリア抗体と反応する別の抗原についても検討する予定である。
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