ヌクレオバインディン欠損マウスを得るために作製したターゲティングベクターを、電気パルス法によりES細胞E14に導入し、G418選択後サザンハイブリダイゼーション法で相同組み換えを起こした細胞を取得した。その細胞をC57BL/6の胚盤胞に注入し、キメラマウスを誕生させ、C57BL/6との掛け合わせからヌクレオバインディン遺伝子の片方のアレルに変異を持つマウスを取得することができた。さらに、そのようなマウス同士の掛け合わせから、両方のアレルともに変異となるホモターゲットマウスを獲得できた。mRNAおよびタンパクレベルでヌクレオバインディンの発現をみたところ、ともに検出限界以下であることがわかった。しかしながらそれらのマウスは、外見上全く正常であった。ヌクレオバインディンは調べた限りすべての臓器や組織で発現しているので、各切片を取り解剖学的に観察したところ、肝臓、腎臓、ぼうこうにおいて、正常マウスに比べ壊死を起こした部位が見られることがわかったが、ヌクレオバインディンの欠損との因果関係については、今のところ不明であり今後の解析の課題と思われる。 なおホモターゲットマウスを取得するための掛け合わせの過程において、ヌクレオバインディンの遺伝子は、毛色遺伝子Cに連鎖することがわかった。
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