研究概要 |
本研究ではT細胞の主要組織適応抗原(MHC)を介した抗原組織の段階での自己抗体(抗DNAトポイソメラーゼI抗体:抗topo I抗体)産生の役割を明らかにするため、精製したtopo Iを用いて全身性硬化症(強皮症)患者および健常人末梢血単核球(PBMC)を刺激し、その反応をリンパ球の増殖により判定した。cDNA断片より発現させることにより得られた、5つのoverlapしてtopo Iの全塩基配列をコードする融合蛋白を抗原として用いた。抗topo I抗体陽性患者のPBMCはtopo Iにより著名な増殖反応を示し(stimulation index 5〜25)、モノクローナル抗体による抑制試験により反応を示したのはCD4^+T細胞が主であった。またこの反応はHLA‐DR抗原により拘束されていた。ほとんどの抗topo I抗体陰性強皮症患者と健常人のPBMCはtopo Iに反応しなかったが、抗topo I抗体と関連するHLA‐DR遺伝子(DRB1^*1502またはDRB1^*1104)をもった例では軽度の反応を示した(stimulation index3‐6)。5つのtopo I融合蛋白を用いたリンパ球増殖試験では、topo I分子上に少なくとも3つの独立したT細胞エピトープが存在し、全例が認識するT細胞エピトープは、以前申請者が明らかにした主要なB細胞エピトープとは異なった。またT細胞エピトープの分布とHLA‐DRおよびDQ遺伝子が密接に関連していた。これらの成績は、強皮症患者における抗topo I抗体はtopo I分子そのものの抗原刺激によって産生され、その産生はT細胞とMHCにより制御されていることを示唆する。現在抗topo I抗体陽性強皮症患者のPBMCより、topo Iと反応するT細胞を分離することに成功し,さらに詳細な分析を行っている。
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