現在広く行われているバルーンによる冠動脈形成術の合併症である冠動脈解離がレーザーによる温熱バルーンによって修復可能であることが示されている。しかし加熱中の温度制御が不十分で慢性期再狭窄が多いことも明かにされている。本研究はレーザーに比し廉価な高周波をエネルギー源とし、かつ温度測定が可能なバルーンを用いることにより、至適な加熱時間・温度を明らかにすることを目的に企画された。 過去に筋肉ファントムを使用して行った実験から高周波の出力や通電時間とバルーンの温度上昇の関係については基礎的なデータをある程度得ていたが、本研究を開始するにあたり、今回購入した2本のバルーンのうち1本を使用してデータの再確認を試みた。その際高周波発生装置に異常を来し、出力の制御が困難となった。すなわちインピーダンス整合がとれなくなり、バルーンが発熱せず装置内部で発熱してしまう事態となった(装置自体はオーバーヒート時には出力を停止する機構を備えている)。そのため高周波発生装置の修理が必要となったが、その修理の遅れのために動物実験の日程が大幅に遅れてしまったのが現状である。このような事情から本年度中には本研究を計画通りに終了することは困難な状況にあり、今後動物実験を進め、所期の目的を遂行する予定である。
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