麻酔開胸犬30頭を用いて、マイクロダイアリーシス法を拍動心に応用し、心筋虚血時の間質内ノルエピネフリン濃度の時間的推移について、検討した。マイクロダイアリーシスプローベ挿入直後は、心筋内カテコラミン放出がおこり、60分で定常状態に達した。その後 40分間の左前下行枝の結紮による心筋虚血を作成し、再灌流した。虚血20分後より、心筋間質内ノルエピネフリン(NE)の増加を認め、虚血40分後には、controlの約10倍に達した。再灌流直後、一過性のNE増加を認めるが、すみやかに低下した。次に、3分間虚血、再灌流を3回繰り返すことにより、ischemic preconditioningを行った後に、同様のプロトコールを行った。心筋間質内NEの増加は、preconditioningを行なわない群に比し、低下傾向を示した。さらに、再灌流時の心室細動の頻度は、preconditioningを行なった群で、少ない傾向を示し、間質NEとの関連を示唆した。 この成果は、1994年度、アメリカ心臓病学会へ報告する予定である。
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