1.In vivoにおける治療効果判定モデルの作成 ポジトロン核種である18F(フッソ)をぶどう糖類似物質であるFDG(Fluoro-deoxy-glucose)に標識した18F-FDGを用いたPET(Positron Emission Tomography)は、Glucoseの代謝を利用した腫瘍イメージング法として、臨床的な評価を得ている。そこで。このイメージング法を用いた実験肝腫瘍モデルを作成した。まず白色日本家兎の肝内に、VX2腫瘍を移植することにより、移植肝腫瘍を作成した。約3週間後に腫瘍が2cmに成長した段階で、放射線療法の治療効果判定を試みる前段階として、肝動脈血流を遮断する肝動脈塞栓療法を行った。そしてその治療前後で、腫瘍組織のFDG取り込み値とPET画像とを比較した。その結果、治療後の腫瘍のFDG取り込み値は治療前に比べて著明に低下し、画像上でも正常肝と比較して部分欠損としてとらえることが可能であった。これにより、このモデルがin vivoで充分に各種治療効果判定に応用可能であることが判明した。現在、この実験モデルを用いて、部分的肝照射法の治療効果を画像的に評価中である。 2.CTシミュレータと治療装置とのネットワークの作成 Ethernetを用いたオンライン回線で、すでに開発した高精度放射線治療計画装置CTシミュレータと、マルチリ-フ多段絞りを装備したライナック照射装置と連結することによって、高精度な治療計画結果を治療装置に転送可能とした。これにより、コンピュータ制御によりマルチリ-フ原体照射を実現し、正常肝への照射を出来る限り少なくし、なおかつ肝腫瘍に充分な線量の照射が可能となり、現在臨床応用を開始している。
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