高周波エネルギーを用いた血管閉塞術に関する動物実験 体重3.4〜7.1Kgの雑種成犬(雄)の9頭を用いて閉塞術を行った。方法は雑種成犬を25mg/kgのネンブタールによる静脈麻酔下に、右大腿動脈から5Frカテーテル(クリニカルサプライ社製)を挿入して血管造影を行い、閉塞部位の術前血管径を測定した。その後、目的部位にトラッカー18カテーテルを挿入し、このカテーテルの先端部よりガイドワイヤーを10mm露出させた。次いで、ガイドワイヤーの中枢部とRF発生装置とを接続し、ガイドワイヤーの先端部が目的部位にあることを確認した後、通電を行った。その際、対極板は実験動物の大腿部に密着させた。通電終了後、直ちに5Frカテーテ-ルから再度血管造影を行い、術後の動脈径を測定した。対象動脈は、腹腔動脈領域3カ所、上腸間膜動脈領域3カ所、腎動脈2カ所、腰動脈3カ所、大腿動脈分枝3カ所、膝窩動脈3カ所の計17カ所で、それらの血管径は、1.3〜3.7mmであった。 1. 術前血管径と術後狭窄率との関係 血管径が2mm以下の動脈では、5カ所中3カ所に完全閉塞が認められた。 血管径が2.4mm以上では、閉塞例は認められなかった。 2. 通電エネルギー量と術後狭窄率との関係 尚、血管径は1.5〜2.5mmの範囲とし、エネルギー量は通電時間を変化させた。 通電時間が20秒の時には完全閉塞が9カ所中4カ所に認められた。 3. 通電部位での組織学的変化 完全閉塞部位より得られた組織片の病理学的変化は、内皮細胞の変性、壊死、脱落を伴った膨化および同部への好中球浸潤が認められ、中膜及び外膜には、明かな変化は認められなかった。 以上より本閉塞術は、比較的細い動脈に対して安全にかつ簡便に利用できる閉塞術であると考えられるが、今後さらに長期的な安全性ならびに確実性の検討が必要と考えられる。
|