研究概要 |
(1)ヒト膀胱壁に対するウォータージェットの安全性の検討 注入物質:微粒子活性炭混入生理食塩水、注入速度:1.0,2.0,3.0,4.0ml/sec、カテーテル先端と膀胱壁との距離:0,10,20mm、注入角度:90゚の条件下でウォータージェットを噴出させ病理組織学的に検討した。肉眼的には注入速度1.0ml/sec、カテーテル先端と膀胱壁との距離10mmの場合、カテーテル先端部に一致した径2-3mm大の炭分沈着を認めた。注入速度を大きくするにつれその範囲は拡大し、注入速度4.0ml/sec、カテーテル先端と膀胱壁との距離10mmの場合には4×10mmの範囲となった。カテーテル先端と膀胱壁との距離が大きくなるとその範囲もやや拡大する傾向がみられ、注入速度4.0ml/sec、カテーテル先端と膀胱壁との距離20mmの場合には8×6mmの範囲となった。組織学的には、いずれの条件でも膀胱壁表面に炭分沈着を認めるのみで粘膜内への炭分の浸入はほとんど認めなかった。また、筋層への浸入は全く認めなかった。 (2)膀胱腫瘍に対するウォータージェットによる薬液注入効果の検討 注入物質:微粒子活性炭混入生理食塩水、注入速度:1.0,2.9ml/sec、カテーテル先端との距離:0,10,20mm、注入角度:90゚の条件下でウォータージェットを噴出させ病理組織学的に検討した。肉眼的には、いずれの条件でもカテーテル先端部に一致して径3-5mm大の炭分沈着を認めた。組織学的には膀胱腫瘍表面に炭分沈着を認めるのみで、腫瘍内への炭分の浸入は認めなかった。今後は、さらに強力なウォータージェットにより薬液を組織内に注入すべく、装置及び手技の改良が必要であると考えられる。
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