研究概要 |
1)再現性のある血管攣縮モデルの作成 3Frのカテーテルを家兎の大腿動脈から腹腔動脈や上腸間膜動脈まで進めその先端から金属製のガイドワイヤーを1cm出して電極とし、対極を体表や動脈周辺の軟部織に置き、シグナルジェネレーターから電気的刺激を与えたところ周辺部の筋肉に攣縮を生じさせたが目的血管に攣縮を生じさせることはできなかった。次なる方法として生体内の強力な血管収縮物質のトロンボキサンに注目し、上記と同様の方法で目的血管まで進めたカテーテルからトロンボキサンA2 1.2mg/kgを3分かけて自動注入ポンプで動注したところカテーテルの末梢側に強い血管攣縮が生じた。その攣縮部は動注終了から5分間は、一定の非常にゆっくりとした速度で拡張するのが見られたため、安定した血管収縮系として用いることが可能と考えられた。 2)血管拡張剤としては現在臨床で使用されているニトログリセリンと、血圧低下の少ないと言われているカルシウム拮抗剤塩酸ジルチアゼムとについて局所の攣縮解除効果について検討した。ニトログリセリンは12mmg/Kg,24mmg/Kg,ジルチアゼムは100mmg/Kg,200mmg/Kgをそれぞれ1)で作成した血管攣縮モデルに動注したところニトログリセリン12mg/Kgとジルチアゼム200mmg/kgで有意な攣縮解除効果が得られた。ジルチアゼム200mmg/kgは成人でおよそ10mgに相当し血圧低下を来たさないとされる上限の投与量に入っており臨床使用での安全性が示唆された。
|