変形性膝関節症は、高齢者共通の障害として認識されており、高齢者人口の加速的な増加に伴い、その適切さらには理想的な治療が強く望まれている.変形性膝関節症の治療には、高位脛骨骨切り術の有用性は確立されており、我々は手術侵襲の少ない経皮的な骨切りによる方法を開発した。術後の固定方法は数々あるが、内固定せずに強固な固定力を有し、術後の矯正が可能である創外固定が有用である。しかし、現存する創外固定器は、様々な問題点を有しており、新世代の創外固定器を開発することが必要不可欠である. まず、経皮的脛骨骨切りを行うために必要である骨切りガイドブロックの材質を透明なアクリル製とし、ドリリングする部位が観察できるものを作製し、ドリリングの間隔を正確に1mmの密なものとし、骨切りが更に容易になることを確認した。 術後、骨切り部がX線に透過しない創外固定器と重なるため、骨癒合状態の判定が困難であった。そこで、X線検査時のみ一時的に装着する追加の簡易な固定器(Exchange units)を使用し、骨切り部の骨癒合を正確に評価することが可能になった。 術中の矯正では不十分であり、術後の矯正を要する症例に対しては、術後(創外固定器装着後)、矯正角度の微調節まで可能であるガ-シュタイプの創外固定器に変更するようにしており、その有用性は非常に高いと考えられた。 創外固定器本体の改良については、強固な固定力、強い耐久性を獲得したうえで、軽量でサイズの縮小化及びX線透過の材質の使用を図る必要がある。しかし、現在の所、カーボンファイバーやその複合材料に対する期待が高いものの、これらの要件を満たす素材の力学的強度、材質の性状の検討が十分に行われていないために、未だ臨床応用するには至っていない。 今後、さらに我々の目的に合致した高機能的、コンパクトな新世代の創外固定器の開発を行ったうえで、臨床応用を推進すべきであると考えられる。
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