現在ECMO回路は、未熟児に適応外されており、その応用が難しいとされている。多量の同種血を用いる事に伴う危険性や、抗凝固剤の使用に伴う出血傾向、回路補填量が大きいため心臓への後負荷が増大するなど数々の問題があり、現在のところ臨床応用は不可能である。そこで、未熟児に対してより侵襲少なく、なおかつ、副作用の軽減を計った補助呼吸の方法として体内型の膜型人工肺を用いて、静脈内ガス交換装置(IVLA)を作成したものを使う酵素化と、従来のECMOを改良して新しい回路を用いた場合の両者を比較し、より理想的な呼吸管理方法の可能性を検討した。中空糸型膜型人工肺を改良したMORTENSEN型のIVLAを作成し、羊新生仔を用いて、IVLA使用による、呼吸状態の改善、及び循環動態に与える影響を測定した。羊の新生仔は胎児循環を保つため、自発呼吸を開始させないようにし、人工羊水中の哺育環境下で、IVLAおよびECMOの回路の接続を行なった。さらに未熟児用の開発した体外ECMO回路を用い、同様の項目について検討する。血圧、心電図、血液ガス、血液凝固学的評価では、循環動態に対するIVLAの影響は少ないものの。凝血学的に悪影響(血栓症の頻発)を起こした。未熟児用に開発した体外式ECMO回路では、代用血液を用いる事で、酸素化の程度、脱炭酸化の程度は、同種血を用いた場合と同様であり、IVLAの場合も同種血にみられた血栓症の発生が少なかった。以上の結果はさらに動物種を変え、追加実験を行う予定である。
|