研究概要 |
GnRH分泌調整機構を知るため、transgenic mouseから得たGnRH cell lineを用いた。位相差顕微鏡による形態学的検討ではGnRH cellは核を有する円形、卵円形、多角形の細胞で、継代後2時間で細胞体から突起を形成し始め、6時間で数個の神経突起を形成し12時間後にはその神経突起の網目状構造を形成して細胞が互いに連絡している事を確認した。さらに、今回の本研究ではcytodex beadsを燐酸緩衝液にて1時間膨潤後オートクレイブで滅菌、GnRH cell浮遊液にこのcytodex beadsを加えて混和し、CO_2 incubatorで時々攪はんしながら2-3日間培養する。ポリプロピレンガラスカラムにこのGnRH細胞を付着したcytodex beadsを重層し、DMEMで還流しfraction collectorで6分毎採取しGnRH,GAP(GnRH associated peptide)の分泌様式(律動的分泌の有無)を検討した。GnRH測定は家兎anti-Glu^1GnRH抗体、GAP(GnRH associated peptide)は家兎anti-human GAP抗体を用いてRIAで測定した。灌流開始後、培養液中のGnRH濃度は10^5cell当たり培養6時間で平均16.7pg、24時間後22.3pg、72時間後34.7pg、GAPもGnRH濃度に相関してほぼ1/3濃度において6-72時間で経時的に増加した。しかしながら、現在のところGnRH律動的分泌は確認できていない。さらに免疫組織染色も検討した。免疫組織染色では神経細胞の細胞質および神経突起でGnRHが認められた。GnRHは特に神経突起終末に高度に染色され、GnRHの軸策輸送が示唆された。さらに、現在、各種神経伝達物質による灌流実験によりGnRH分泌への関与を検討中である。
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