我々はこれまでにスギ花粉抗原に対する低応答性はヒト主要組織適合性抗原(HLA)に連鎖したIgEクラスの免疫抑制遺伝子によってスギ花粉抗原特異的サプレッサーT細胞を介して発現される常染色体性優性の遺伝形質であることを明らかにした。今回はスギ花粉抗原と特異的に反応する単クローン抗体CPA7及びCPA9を用いて抗体カラムを作製し、アフィニティークロマトグラフィーを行ってスギ花粉抗原の分子量41kDaと46kDaの2つの糖蛋白を大量に精製した。この精製スギ花粉抗原はほとんどのスギ花粉症患者血清において高いスギ花粉抗原特異的IgE抗体価を示し、スギ花粉の主アレルゲンであることが再認識された。つづいてゲルマクロマトグラフィーを行って分子量の差によって2つの糖蛋白を分離してそれぞれのスギ花粉症患者血清中の特異的IgE抗体価を測定したところ、有意な差は認められなかった。この結果分子量41kDaと46kDaの2つの糖蛋白はアレルゲン活性においてはほとんど差がないとかんがえられた。つづいて、スギ花粉症患者抹消血リンパ球と精製スギ花粉抗原を用いて数種類のT cell lineを樹立した。このT cell lineを使ってさらに分画精製したスギ花粉抗原に対するIgE抗体産生の反応系を確立した。
|