1.血小板活性化因子受容体cDNAより約1kbのコーディング領域のみを新たなベクターにサブクローンした。このplasmidDNAよりコーディング領域とハイブリダイズするcRNAプローブを作成し、眼組織においてin situ hybridizationを行った。現在までに得られた当受容体に対する抗体は免疫組織染色に使用できないので、蛋白としての同定を組織切片で行うことはできなかった。 2.結果・考察:当初、hybridizationによるシグナルは非常に弱く、通常のin situ hybridizationの検出感度を下回った。プローブの比活性を高くし、ハイブリダイズ後の洗浄の条件を最適化することによって特異的シグナルを検出することが可能になった。シグナルは網膜の神経節細胞層、内顆粒層、虹彩上皮、毛様体に認められた。より弱いシグナルが網膜外顆粒層、視細胞内節に認められた。試験的実験の結果では、発生の経過中で発現が著しく変化する段階はなかった。ハイブリダイズ後に行うニッスル染色およびヘマトキシリン・エオジン染色ではシグナルをもつ細胞の同定は困難であった。一方、脳組織において同様のin situ hybridizationを行ったところ、ニューロンだけでなく、グリア系の細胞にも当受容体mRNAが発現していることが判明した。現在、細胞マーカーを使用した染色を併用し、発現細胞の同定を目標にさらに解析を続けている。
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