ゴールデンハムスターの下顎臼歯部頬側歯肉上皮付着部の血管網を冷PLP 固定液にて灌流固定後の墨汁注入標本を観察すると歯肉溝上皮下には太さ3.5mum程度の亀甲状あるいは棚状の形態を示す密な血管網が存在した。一方、上皮付着直下には高さ60mum前後の毛細血管ループが歯槽縁に平行に走る細動脈より立ち上り、歯肉溝上皮下の亀甲状血管網を構成する細静脈に合流していた。さらに冷 PLP固定液にて浸漬固定後、抗substance P抗体を用いた免疫蛍光染色を施した。標本を走査型レーザー蛍光顕微鏡で観察すると、墨汁の充満した血管の周囲に点状のsubstance P(SP)陽性の部分が散在した。この陽性部位は、歯肉溝上皮直下の亀甲状血管網には少なく、付着上皮下のループ状毛細血管に多く出現した。そこで、走査像を90mum厚の再構築像として再現してみると、SP陽性線維は付着上皮下毛細血管ループの両脚に沿って網目状に取り囲むように分布し、特に先端部には密に分布していた。付着上皮下のループ状毛細血管は特異的にSP陽性線維が分布しているものと思われた。
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