歯周炎が進行して、歯周ポケットが根尖まで及ぶと保存は困難とされている。しかし、根尖に及んだポケットが歯根全周ではなく幅の狭い限局的な場合には、根面に残存する歯根膜面積は多く、これを歯周組織再生に有効に利用できる可能性が考えられる。 そこで、まず実験動物に垂直性の骨欠損を作製し、患歯を一度抜歯してルートプレーニング後、Group1は元の向きに再植、Group2は180度捻転して再植、Group3は元の向きに再植してGTR、Group4は180度捻転して再植GTRを行った。現在、病理組織学的に観察を行っており、Group1に比較して2、3、4の方が歯周組織再生量は多い傾向がみられているが、部位による結果のばらつきがが多く、定量的な評価を行うには大型の動物により検討する必要が認められるため、現在その準備を進めているところである。 さらに、臨床的にも同時に評価を加えており、抜歯適用のの高度歯周炎罹患歯に、患者の同意を得た上で、同様な検討を進めている。現在、症例数が少なく定量的な比較は行っていないが、Group2、3、4では著名な改善、すなわち、Probin depthの現象、Clinical attachmento levelの増加、Bone levelの増加が認められており、再植法を応用した歯周組織再生法の有効性が示唆されている。今後は臨床例を増やして行くことにより、骨欠損の形態等がどのように影響を与えているかなどの点についても多面的な解析を定量的におこなって、ポケットが根尖に及んだ歯に対する保存の可能性を、歯周組織破壊の形態との関連で明らかにしていく予定である。
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