研究概要 |
顎関節疾患患者で、pumping,関節鏡あるいは鏡視下手術時に顎関節液を採取した。顎関節液は洗浄に用いた生理食塩水を含めて、顎関節片側で約500mul採取が可能であった。この関節液から蛋白質を調整して電気泳動を行った。電気泳動で展開した蛋白質をナイロン膜に転写した後、BCGの抗原性蛋白質と熱ショック蛋白質の抗体を用いてWestern blottingを行った。かすかに反応が見られたが、明らかな反応は認められなかった。顎関節液が微量であることしかも生理食塩水で希釈されていることが原因と考えられた。 次に、微量の蛋白質の検出方法として、顎関節液よりグアニジンの合剤を用いて全RNAを調整した後、RT-PCR法を行った。すなわち逆転写反応でmRNAよりcDNAを合成して、熱ショック蛋白質のプライマーで、その遺伝子断片を増幅検出する方法である。PCRを反応30回ではPCR産物は認められなかったが、PCR反応をさらに30回追加し、電気泳動で約250bpの産物を確認した。この結果から、顎関節疾患患者の顎関節液中に熱ショック蛋白質が微量ながらも産生分泌されていることが示唆された。 今後は各種抗原性蛋白質のプライマーを用いて、顎関節液中の蛋白質の発現に関して検討を行う。また、患者間あるいは疾患の程度での比較検討を可能にするために顎関節液の調整法の研究も進めていく予定である。
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