研究概要 |
本研究では、被験者における全身状態、筋活性、さらには、全身骨骨密度代謝を測定するとともに、咀嚼筋活性や咬合状態、骨密度を計測し、全身と咀嚼器官との加齢変化を比較検討することを目的とした。 具体的には以下の方法を用いた。 1,被験者および実験動物において顎骨骨密度および全身骨骨密度を測定した。 骨密度の測定にはDual Energy X-ray Absorptiometr法,およびQuantitative Computed Tomograph法を用いた。 2,骨密度分布状態を三次元的に観察した。 三次元データを用いて有限要素モデルを構築する。 有限要素モデルの構築には、NISA2を用いた。 3,応力解析モデルを用いて各部位における骨改造の反応性を比較した。 4,上記の解析結果を総合し、全身状態と顎骨との関連性を考察した。 その結果、顎骨骨密度と全身骨骨密度は異なった増減を示し、とくに顎骨においては、咬合状態や咀嚼による力学的環境の影響を強く受けることが判明した。また、動物実験においても卵巣摘出などの全身状態の影響が顎骨には現われにくいことが示された。 この点について有限要素モデルを用いて検討した結果、咀嚼筋の牽引による力学的エネルギー(相当応力)の分布が骨密度分布と一致していた。 したがって、顎骨の加齢変化は、全身と異なったメカニズムによる可能性が強く示唆された。 本研究結果からも歯科治療の重要性が認識されたものと考える。
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