研究概要 |
生理活性を示す天然物には基本骨格にシクロペンタン及びシクロヘキサンを有する化合物が数多く知られている。本研究はこのような天然物を合成するにあたって出発原料となる光学活性なシクロペンタンおよびシクロヘキサン誘導体の新しい合成法の開発を目的とするものであり、以下に示す2つの方法について検討を行った。 1 alpha,beta-不飽和エステルのエステル部に不斉補助基を有する基質を用いて、エステルのbeta位に対してジアステレオ選択的な分子内ラジカル環化反応を試み、この反応の選択性がルイス酸の添加により上昇することを見いだした。現在、Scheme1に示す系(n=2)ではルイス酸としてトリイソブチルアルミニウムを用いて收率72%、ジアステレオ選択比6.7:1で環化体を得ている。 2 本研究においてすでに開発されたラセミ体のalphaアルキルシクロペンタノンからalphaアルキル側鎖のエピメリ化を伴う不斉アセタール化反応を経て光学活性なalpha置換シクロペンタノンを合成する方法を利用して昆虫フェロモン(+)-5-ヘキサデカノリドの合成を行った(Scheme2)。
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